これまでの日本では、「築年数が経った建物には資産価値がない」という見方が一般的でした。しかし今、こうした考えが大きく変わりつつあります。古い建物でも適切に補修し、機能改良を加えることで、優良な資産として再びそのポテンシャルを発揮し、しっかり役割を果たしてくれる可能性が残っています。
ヤシマ工業では、古い建物に積極的に手を入れることで、先の世代まで大切に使い続けていくことを使命と考え、「ビル100年時代」の実現に向けて日々取り組んでいます。
建物が「あと何年使えるか」によって収益計算は大きく異なり、建物の使い方や将来の投資に大きな影響を与えます。
ヤシマ工業ではリノベーション工事を実施する前に、専門の調査員が化学的な手法を用い躯体部分のコンクリートを含む建物の健康状態を確認し、リノベーションプランに活かします。
外装だけ、内装だけを表面的に綺麗にしても、建物を造っているコンクリートが健全な状態でなければ、いずれ長期の使用に耐えられなくなります。まずは、躯体に適切な補修をすることで状態を回復、その上で必要な改修を実施することが建物を20年、30年先まで資産として維持していくための「大切な土台」となります。
加えて、耐震性の確保、時代に合わせたインフラの整備、そして、間取りやデザインの再設計など、建物のポテンシャルを最大限に引き出し、競争力を高める提案をします。
人にはそれぞれ個性や魅力があるのと同様に、建物にも建物ごとの個性や魅力が存在します。リノベーションプランでは、その個性や魅力を抽出し、新しいデザインとして再構築することで建物の価値向上を図ります。デザイン段階では、建物の意匠・構造・機能面はもちろん、建物の使われ方、建物を使う人のライフスタイル、そしてまちづくりに関わることまで、図面・模型・CGパースなどを使って分かりやすくご提案をします。
古いビルでは長期的な修繕計画が用意されていないケースが多くあります。年間の家賃等の収入から維持費用を引いた金額が算出できて、はじめてその建物の生涯収支、すなわち潜在価値が計算できます。したがって長期修繕計画を持つことは、建物という資産を維持していく上でもとても大切です。
ヤシマ工業ではリノベーションプランと平行して長期修繕計画の立案を含め様々なサポートを行っています。
杉並の住宅街の一角、緑豊かな敷地の中に建つ上井草グリーンハイツ。都心ではなかなか出会えない広い庭を持つ賃貸マンションです。季節の花々や果樹、長年大切に育てられた大きな木々は木陰をつくり、心地よい風が通り抜けるとても贅沢な空間をお持ちでした。
しかし、建物も築40年にさしかかり、設備の古さなどから空室も目立つようになっていました。オーナー様は受け継いできた土地と建物を活かし、ふたたび満室経営ができる方法はないか頭を悩ませていた中でヤシマ工業にご相談をいただきました。
建物診断でコンクリートの状態を確認、全体の基本構想、耐震診断、設計業務など、3年に渡るプロジェクトを経て2019年に内外装のフルリノベーションを実施しました。豊かな緑はそのままに、耐震化、外断熱、サッシ・玄関ドアの交換などで建物の機能面の強化に加え、オートロックなどの最新設備を装備。広く明るいキッズルームも新設し、子育て世代と高齢者世代の交流ができるヴィンテージマンションとして再生しました。
フルリノベーションをした住戸は3タイプを用意しました。広い土間スペースやデッキを設けた部屋もあり、ライフスタイルに合わせて様々な使い方を楽しむことができます。
築50年を迎えた本社ビルについて、設備の老朽化や耐震性を懸念して建て替えを計画されている中、リノベーションという手法を知り、ご連絡をいただきました。
当初は「古い建物をそのまま使って強度に問題はないのか」「安全面は確保できるのか」といったご心配もありましたが、まずは建物診断で確認すると、経年劣化はあるものの建物は良い状態で保たれていることがわかりました。費用についても新築より抑えられることがわかり、設備をはじめとする機能面や耐震性能を現代の基準に合わせて向上し、意匠面もデザインをし直す方向で計画が進みました。
工事については、「居ながらリノベ」という方法で行いました。フロアごとに工事を行い、従業員の皆様は完成したフロアに工事未実施のフロアから順に移っていただきます。現在の社屋内で移動を完結させることで、仮社屋への引越しや家賃、関係する方々へのアナウンスなどが必要なくなり、費用や実務の面で大幅に負担を軽減することができました。
こうして、劣化部分の補修に加え、レイアウトも見直し、内装や設備も一新、一気に現代風の明るいオフィスになりました。と同時に、色々なところに昔の面影を感じられるのも再生リノベーション工事の良いところです。従業員の皆様のご協力もあり、築50年を経て安全性と機能性を備えた美しい社屋に生まれ変わりました。
ヤシマ工業の考える再生リノベーションについて、株式会社理研オプテック様の施工風景と一緒にお送りします。
4分弱でご覧いただけます。
フロア全体を暖色系の色味で統一、木調やガラスの間仕切りを使用し、空間を広く明るく見せるように工夫しました。また自由な配線を可能にするOAフロアも導入し使いやすさにも配慮しました。
耐震補強工事について、当初は建物の外側にフレームを組む工法を検討しましたが、最終的に建物内に鉄骨ブレースを設置する案を採用。コストを抑えることにも繋がりました。
4階の研修室の間仕切りにはスライディングウォールを採用しました。移動が可能なので用途に応じ、様々なレイアウトでスペースを使うことができます。打合せ室や会議室もインテリアを一新、打合せ室の床材には柿渋塗装を採用しました。
建物資産の今後の運用・改修についてご要望や現在の課題についてお伺いします。
現状を確認の上、劣化状況、収益性改善の可能性などを現地で確認します。
建物・設備の現況、収益性改善の可能性、簡易投資効果シミュレーションなどをご提示いたします。
改修投資戦略に必須の情報を建物・収支の両面から詳細に分析します。
客観分析・判定した情報及び投資効果のシミュレーションをレポートの形でご提出します。
レポート結果を踏まえ、建物価値再生のためのコンセプト設計をハード・ソフト両面からご提案します。
融資先、融資金額や返済計画などについてご相談やご紹介などを承ります。
基本設計、スケジュール、資金計画などをお打合せ後、契約を締結いたします。
内装・外装の詳細仕様やご要望などについてすり合わせを行います。
施工、検査を経てお引渡しとなります。お引渡し後もアフターメンテナンスを行います。
運営状況を見ながら、新たなご要望や改善などについて継続的なサポートを実施しております。